2017年12月2日に千葉商科大学で行われた、政策情報学会の第13回研究大会において、同学会の『政策情報学会誌』Vol10,No.1に掲載された拙稿「住民自治活動の位置づけと機能:政策情報学の視点から」が学会賞(学会誌賞)を受賞しました。
同学会で学会賞(研究大会賞)を2015年にいただいた口頭発表「地域内分権組織研究への生活史法によるアプローチ -甲賀市希望ヶ丘学区自治振興会を事例として-」は、改善して、コミュニティ政策学会で吉田昌孝さんとともに「地縁に基づくテーマ型組織化-甲賀市希望ヶ丘学区自治振興会の事例から-」として口頭発表しました。
これらの発表を基に論文化したのが今回の受賞論文です。自分で要約したのが次の文です。
本稿は、ネットワーク型ガバナンスにおける住民自治組織の位置づけと機能を明らかにし、政策情報学における住民自治組織研究アプローチの深化を図るものである。
先行研究における既存の類型論は、住民自治組織の位置づけに成功しているとは言いがたい。本稿ではコミュニティ性と場所性の確認によって地域コミュニティと住民自治組織を分けるとともに、住民自治組織と地域活動組織をその機能・目的から分類した。これにより、住民自治組織がコミュニティの発達・維持を直接目的として地域活動組織の組織化を図るという、他の組織には見られない特徴を有するものであることが明確になった。
そのように理解可能となった住民自治組織には多様性を担保しネットワーク型ガバナンスを展開する中間組織としての性格も有している。中間組織としてソーシャル・ガバナンスの担い手となりうる住民自治組織と、研究者がともに研究を遂行するCBPRを採用することによって、政策情報学が目指す臨床的な研究とメタな研究の有機的な結合の具体例が示された。