所属の龍谷大学社会学部コミュニティマネジメント学科では2016年度から情報処理教育を大幅に変更しました。担当教員もすべて代わっていただき、ICTの専門性のみならず地域づくりに実績のある教員に入ってもらいました。

「情報処理=Microsoft Officeの基礎スキル」という悪弊を脱し、あくまで素直に「情報を処理するとはどういうことか」を、学科特性に合わせて教えていくというスタイルです。

とはいえ、当然ツールとしてのコンピュータの用い方は重要で、その基礎スキルとしてタッチタイピングの練習には重点的に取り組んでいます。ところが、ふだんスマホしか使わない学生たちにとっては「タイピングが速く精確になること」にはなかなかモチベーションがわきません。

ところで去年、所属キャンパスでも人手不足であるPCテイカー/ノートテイカーのことを授業で紹介してみたところ、関心を示す学生が多くいました。そこで、「タイピングが速く精確になること」が、困っている同級生の支えになるかもしれない、ということをしっかり伝え、PCテイカーを養成したいと思います。


PCテイカーは、パソコンを使って、耳が聞こえない(あるいは聞こえづらい)学生に、授業の情報保障をする役割です。前に『話しことばの要約』で紹介したように、単に速くすべてを入力できるとうことが大事なわけではありません。情報として伝わるようにまとめる技術と知識が必要です。

今回、大学コンソーシアム京都がPCテイカー養成講座(初級編)を2時間で開催するということで、学科の情報処理担当教員と3名で受講してきました。講義部分はほとんどなく、IPtalkというソフトウェアを用いての演習がメインで、なかなか楽しかったです。細かな配慮が行き届いたソフトウェアだと思います。

二人で「連係入力」という演習がありましたが、トレーニングを受けたテイカー2人でやらないと無理なのではないかと疑問を感じ尋ねたところ、やはりそのようです。また、テイカーに流儀のようなものがあるのか聞くと、講師に言わせれば「流儀の問題のように言われていることも、多くは単純にテイカーの技術水準の問題だと思う」というのも一定は納得が行きました。

授業でこれを採り入れるとなると、私たちは情報処理の技術と知識は一定あるものの、要約筆記の技術と知識に欠けているので、まだ少し難しいようにも感じます。また、IPtalkで2人連係も初学者の学生には不適切でしょう。ですから、まずはやはり「速く精確に」を目指した教育をしようと思います。

2,3年後には学内のPCテイカーを、必修の情報処理科目からコンスタントに生み出せるようになるといいなあ。

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