2023年6月24日から7月1日にメルボルンで開催された国際社会学会第20回世界大会(ISA XX World Congress of Sociology)で次の2件の報告を行いました。カッコ内はセッション名です。
- Older Adults’ Civic Engagement in Various Way: Based on Their Life Histories and Local Newsletters (Civic Engagement in Later Life: Expanding the Social Gerontological Imagination)
- Voluntary Association As a Predecessor of Resident Self-Governing Bodies in Japan by KASAI, Yoshinori(Historical Sociology of Organizations, Part II)
1つ目の報告はエイジングの社会学の部会によるセッションでの報告でした。「civic engagement」という語の意味すること自体が文脈(文化)ごとに異なるという議論もありました。
実際、欧米の報告では「political」が枠組みとして使われていましたが、日本の高齢者の社会参画においてはコミュニティとかボランティアが前面に出てくると思われます。
また、セッション名に現れているように高齢者とか老人ではなく「later life」を敢えて用いるというのもおもしろい視点です。
報告5本中、私を含む3本はインタビュー結果を中心としており、セッション全体としては質・量が混在していました。
海外でも同じような関心・方法で研究が進められていることを目の当たりにし、共同研究もできそうだと期待が膨らみます。
私はニュータウンにおけるコミュニティの形成と混乱について述べました。
フロアからはアジアという文脈の特殊性について質問され、私は「日本の地域社会における高齢者の活動という点では、政治的貢献をしていても、少なくとも主観的には政治的活動とはみなされていないこと、ボランティアが自発的というよりはむしろ人に頼まれたとかやむなくといったように受動性を表に出して始められることがある」旨の説明をしました。
2本目の報告は、歴史社会学の部門によるセッションでした。結果的に報告者は2人きりになり、アメリカの名誉教授である先生の重厚な報告ののち、私は伊勢講が地域において現在の自治会のような包括的機能を果たしていた事例について報告しました。
相互扶助行為と講の違いや、講が戦時中に部落会と同様の機能を担ってしまっていたことについての疑問がフロアから寄せられました。
初めてのISA大会参加でしたが、日本やフィリピンの社会学徒たちとたくさんの交流ができました。