僕は栗東市から元気創造まちづくり事業審査委員会の委員長を委嘱されています。これは同時に、市民社会貢献活動促進基金補助金運営委員会の委員長でもあるということのようです。いずれも長いので口頭では言いませんが……。
ともかく、市からの補助金を市民活動に出すにあたり、第三者の委員会が審査にあたっているという構図です。今日は2016年度事業の報告会でした。
委員が集まるのは年2回です。10月は次年度分の「審査」です。【運営委員会】→【プレゼンテーション】→【審査委員会】の流れ。3月は「評価」です。【運営委員会】→【プレゼンテーション】ですね。いずれも一日仕事です。事業は3年度間まで継続できる(毎年度審査)ので、登場する団体が当然に重なり、委員の頭は混乱します(僕だけ?)
それはともかく、今日は午前中に初の試みとして「まちづくりをカタチにするクラウドファンディング入門セミナー」と題した宮村利典氏(FAAVO滋賀エリアオーナー)の講演を市が用意していました。
宮村さんの講演はわかりやすく、特にクラウドファンディングは「通信販売と仕組みは同じ」などといったご説明は記憶に残りました。ただ、聴衆のほとんどは元気創造まちづくり事業の採択団体だったので、市民活動をクラウドファンディングにどう繋げうるか、という話に絞って事務局(市)から依頼をされても良かったかもしれません。
とはいえ、FAAVOのように、少額からでも募集可能だとか、単に資金集めの方法としてだけでは無くPRのためにもクラウドファンディングは有用である、という話は市民活動でもすぐに活用できる知見かもしれません。
講演後の(昼食前に開かれた)運営委員会では、次年度以降の成果報告会の方法について議論が交わされ、事務局と委員長に原案作成を一任されました(その後で、私の任期が3月末までだったと気づいたのですが)。
以前から私が、報告会の場を「交流」の場にしたいと発言していたことを委員が覚えていてくださっての議論です。
現状、報告会や審査会は【団体の発表(5分)→審査員からの質疑(5分)】という形式です。せっかく1年頑張ったのに(あるいは頑張る熱意があるのに)自分たちに与えられる時間と、審査員のコメントの時間が同じだけしかありません。
単に評価するだけであれば、書類のやりとりでもできますから、せっかく一堂に会して行うのにもったいない方法だなあと感じていました。まちづくりに精力的に取り組もうとされている方が集まるまたとない機会なので、私たち審査員のコメントを聞くだけではなく、互いに情報交換をする時間も必要です。
まだ次年度以降の方法は決まっていませんが、一例として、ポスター・セッションのようなことも考えています。冒頭に各団体が短くプレゼンをして、すぐに全体でポスター・セッションに入るという方式です。ただし、このためには一般来場者も一定いないと成り立たないため、何かのイベントと一緒に開催する等の工夫が必要であると本日の委員会では議論されました。
今年度は試行的にパネル展示を採択団体にお願いしたところ、多くの団体が用意してくれました。
今年度の事業報告は【元気創造まちづくり事業】の「市民活動団体」が8件、「地域振興協議会」が6件、【協働事業】が1件の計15件でした。今年度は団体発表5分、審査員5分の従来通りの方法です。(13時~16時!朝のご講演と委員会も入れると、同じ会場に実に6時間の滞在です。)
個別の事業についてはここでは紹介しきれませんが、「審査委員長講評」で言ったことをここにかいつまんで紹介します(じゃっかん、増やしたり減らしたりしています)。その場ではアドリブでしゃべっているので、ここに書いているのは、さきほどしゃべったことを「思い出して」書いています。
毎年、最後に審査員長講評のお時間をいただけるので、今日は冒頭の挨拶をカットしてもらい、個別の発表への質疑も意図的に控えめにしておりましたので、思う存分、ここでコメントします。
3年度目を迎えられる団体から「心寂しい思い」とのご発言がありました。私も審査委員として3,4年間務めており、その思いに共感できるようになってきました。実際に汗を流しているのは採択団体の皆さんですが、私たちも審査員としてかかわることでどこか「皆さんと一緒」という気持ちになっているようです。
まずは、報告の姿勢や方法に関して申し上げます。昨年度までは冒頭の挨拶で「自分の発表が終わってもぜひ最後まで残り、他の団体の発表を聞いて欲しい」と申し上げていました。今年度はそのようなお願いをしておりませんが、こうも多くの方が残って下さいました。
また、審査員を務めてらっしゃる幡委員の「サポート講座」もおかげさまで多くの採択団体に受けていただいており、その成果が如実にでているようです。昨年度は「時間が守れている」ことが印象的でしたが、今年度は「グラフの利用」と「課題の明示」が印象に残りました。成果報告というと成し遂げたことに終始しがちですが、「何ができなかったか」「取り組むべきことは何か」という視点があったのが良かったです。
次に、報告の内容について申し上げます。個別の報告については先程来、講評をしてきたところですので申し上げませんが、全体に共通することとして。「自分たち・私」の興味関心から始まったとしても、それを大事にしつつ「私たち・共」、「みんな・公共」へと広がるストーリーを描いている団体が多いことに感銘を受けました。
よく「広報広聴」と言います。「広く報せ・広く聴く」と書くわけですが、アンケートや聞き取りなど皆さん「広聴」をたいへん丁寧にされてさまざまな意見を掬い取っています。これに今後は「広報」、つまり自分たちの活動をより広く知ってもらうための活動が加わると良いでしょう。自分たちがやっていることはどこか気恥ずかしくて、自分たちからは広報しづらいと思いますが、そこは謙虚にならずになさってください。
また、「みんなのこと」につなげる方法として、仲間作り、巻き込むことも重要です。今回、小学生に標語を作ってもらったり、高校生にロゴを作ってもらったり、あるいは他の団体と連携したりと、さまざまな巻き込みがみられ、たいへん良かったです。
そして、自分たちが活動でつくりあげたモノや機会の利活用ということも考えていきましょう。「かまどベンチを小学校に作ったら、理科の授業で使ってくれたらしくて、後で聞いて知った」という報告がありましたが、それでいいのだと思います。自分たちでは思いもよらない使い方を、ほかの人がしてくれた。そのようにして、みんなの資源として皆さんの活動が残るといいですね。
審査委員長を務める私の責任として、この報告会も改善したいと考えています。先ほどの運営委員会で、他の委員の皆さんもその決意を表明してくれたものと理解しています。
せっかく皆さんが集まる機会ですから、交流が促されるようにしたいです。今年度は、その試行として有志団体の皆さんにパネル展示をしていただきましたが、さっそく交流が生まれていて良かったです。皆さん同様、審査委員会もよりよい制度になるよう努めますので、皆さんも元気創造にご尽力下さい。