『栗東市の左義長からみる地域社会刊行記念シンポジウム

5月18日は国際博物館の日です。その事業として栗東歴史民俗博物館と龍谷エクステンションセンターが博物館で拙著の刊行記念シンポジウムを開催してくれました。

会場には60名近い参加者がきてくださいました。関係者も合わせると70名ほどでしょうか。半分近くの来場者が知り合いで(終了後にバタバタしており直接ご挨拶できなかった方も多かったのですが)、他方半分近くは初めての方達で、こういう機会は貴重だなあと思いました。

講演は基本的に同書の解説をしたのですが、やはり、その後に行われたパネルディスカッションに学ぶところが多かったです。拙著の意義がどこにあるのか、ということについて土居先生や栗東歴史民俗博物館の中川学芸員からのご指摘を受けてようやく自分でも言語化できるようになってきました。

それは、「栗東市の左義長」が決して「特殊事例」ではない、いわば「ふつう」の事例であるということです。私は拙著によって「栗東市の左義長はすごいね」などという特殊化の文脈に載せられることをむしろ危惧しています。

登場人物も事例も、僕にとっては個別で特別ですが、それぞれが研究対象としての特殊性を有しているか、あるいは、有する必要があるかというと、そういうことではないように思います。

研究対象としての好適性はなんらかの側面で言語化したほうがいいと思いますが、それは必ずしも特殊性、先進性でなくてもいいはずです。学生の頃から人生史を紹介するたびに「この対象者はどう特別なのですか」というような質問は少なくなくその度こうした受け答えをしていたこととも重なります。

「ふつう」の事例を丹念に読み解こうとする作業の積み重ねにももう少し光が当たるようにしたいものです。滋賀における左義長研究が、近江八幡の左義長研究でなければならない理由はどこにもありません。栗東の左義長も十分に研究対象です。

同書では、調査過程について後悔していることも含めて詳らかにしています。読んでいただけると、つまづいたことや工夫した点がわかるはずです。

追記

中外日報に当日の様子が掲載されました。

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