研究会について

 

1.担当教員より

当研究会は2020年度に1期生を迎えました。1期生の先輩たちは新しく入ってくる学生たちを心待ちにしています。

当研究会では、地域社会に関心がある学生を募集します。地域社会に愛着がある人だけでなく、私のように地域社会とは何か暮らしの実感ではわからず気になっている人も歓迎します。地域社会については新しく魅力的な概念や実践が多数あります。ただ、おもしろい事例を一つ調べて表面的に紹介するのは研究ではありません。地域社会について社会学には多くの蓄積があります。先行研究を踏まえながら、最新の/従来の地域社会について冷静かつ批判的に検討できるようになりましょう。

地域社会へのアプローチはさまざまです。私自身は住民自治組織、コミュニティ・ボランティア、民俗の観点から論文を書いてきました。1期生も観光、教育、建築、メディアなどそれぞれに異なるアプローチで地域社会に迫っています。いずれのアプローチも歓迎します。ただし、どのようなアプローチを採る場合にも、当研究会においては具体的な地域社会を対象として設定し、社会調査に基づいた卒業論文の執筆を求めています。

社会調査の方法も無数にあり、研究目的に合ったものの中から実現可能な方法を選びます。当初から統計分析などを志向する場合、他の研究会の方が適切な指導が得られるでしょう。当研究会では、生活史法を中心とした質的社会調査法を特に重視します。生活史法は個人の人生史に取材し、それとの関係を分析することで社会を描いていく方法です。取材対象は個人ですが、個人の内面を説明することを目指すものではありません。

質問紙調査も生活史調査も気軽にできそうに見えるため「とりあえず調査」の悪弊があります。しかしテーマにかんする十分な学修に基づく設計をしていない社会調査から得られることはほとんどなく、「感動エピソード」「物めずらしい結果」を消費するだけの、研究とはほど遠い営為に繋がりかねません。そして、社会調査においては常に相手が生身の人であり、失敗したからもう一度やり直すということはほぼ叶いません。

生身の人を対象とする以上、皆さんの瑞々しい感性が重要であることは間違いありません。ただし、それだけではなく理論や方法論を味方につけて地域社会に接してみましょう。わかりやすい「とりあえず調査」と異なり、社会調査は設計も実行も分析も一筋縄ではいきません。だからこそ研究会で同じように地域社会に関心をもって学ぶ仲間たちは重要な存在です。

地域社会や人に、わかりやすい感動やめずらしさのために消費するのを超えて向き合えるようになるとき、社会調査の経験は大学を出た後の皆さんの人生を支えてくれるはずです。社会には実に多様な価値観や経験が常に共在しており複雑で決してわかりやすいものではありません。その複雑さから目を背けずに他者とよりよく共生していくための歩みを一緒に進めてくれる皆さんの応募をお待ちしています。

(ウェブ版の追記)担当教員が現在取り組んでいる研究の一端は次のインタビュー記事にまとまっている[日本生活学会の100人 vol.5 笠井賢紀氏

2.研究の対象

主に現代の地域社会における諸課題。対象地域は国内外を問わない。地域社会への関心に基づく研究であれば、対象は個人であってもよい。

3.ゼミ生の構成

1期生(2020年度入ゼミ) 19名

2期生以降は10名程度の募集とし、ゼミ全体として20名~30名の規模とする。

4.他学部生の受け入れ

可。政治学科の学生と同様の課題・方法で判断する。他学部(学科)生の場合には必ず志望理由に「なぜ他学部(学科)の研究会を志望するのか」がわかるように書くこと。他学部(学科)のゼミと本研究会を兼ねることは認めるが、その場合は複数のゼミを兼ねることにより期待する効果が見込めることを条件とする。

5.ゼミ生からのコメント

(新規開講のため情報なし)

(ウェブ版の追記)本ウェブサイトにゼミ生投稿記事があります。

6. ゼミの進め方

水曜午後はすべて研究会に当てるものと想定しておいてください。運営は学生と協議のうえで決めますが、参考スタイルを以下に示します。

<文献ゼミ(水曜3限)>
  • 社会学に関する文献講読を行う。
  • 質的社会調査に関する文献講読および演習を行う。
<卒論ゼミ(水曜4限)>
  • 各自の個人研究について研究発表・議論を行う。
  • ゲストスピーカーによる講演を行う。
<サブゼミ(水曜5限)>
  • グループ(または個人)で社会調査の計画を練り準備を進める。
<その他のゼミ活動>
  • 三田論は行わない予定。
  • その他のレク等はゼミ生の自主的な企画に期待する。
  • 個人の卒業論文に関する教員との個別面談は適宜行う。

7.主な使用文献

ウェブサイトに適宜掲載する。工藤保則・大山小夜・笠井賢紀編著『基礎ゼミ社会学』(2017, 世界思想社)はゼミでは用いないが前提とする。

8.ウェブサイト

入ゼミ関連:https://katatsumu.jp/keio-entry/

9.連絡先

笠井賢紀(教員本人)kasa [at] keio.jp (※kasaの後に i は不要です。入れると別の教員に届きます)

その他情報(ウェブ版への追記)

  • 研究室の教員・ゼミ生の連絡手段にはDiscordというアプリを用います。
  • 研究室のファイル共有にはGoogleドライブを用います。