1951年に組織された英国社会学会(British Sociological Association, BSA)の75周年記念大会となるBSA 2026に参加しました。3日間で約700件の報告が15分野で繰り広げられました。
私は方法論的革新(Methodological Innovation)部門で「Combination of Biographical Interviews and Neighbourhood Documents(生活史と近隣文書の組み合わせ)」と題し、生活史インタビューを中心としつつ、古文書・公文書、古地図、自治会報などの素材やテキストマイニング、GISなどの方法を混合することで地域史を描き分析するという方法論について報告しました。

今回は、事例研究(日本)そのものの報告ではなく、これまでの事例研究で用いた方法論を中心に報告を行ったこともあってか、質疑応答が盛り上がりました。会場には10名ほどしかいませんでしたが、5分の質疑の時間には3件、終了後の30分間も会場でいろいろな意見交換ができました。というのも、私のほかの報告2件も、(私は語りをほかの方法でどう補うかという観点ですが)語りをどのように引き出すかという方法論に関するものだったので、共通する関心点が多かったためです。
ところで、エントリーする時点では会場は実はエディンバラ大学の予定でした。応募件数が多く、対応できる会場にするということでマンチェスター大学に変更されました。前年度も次年度もマンチェスター大学です。この大学にはUniversity Placeという会議場があり、大ホールのほかに中小の会場もたくさんあるため、学会がこの施設だけで完結するという良さがあります。
古くはコットンポリスと呼ばれた紡績の町、マンチェスターは、蜂(働きバチ)がキャラクターとしていたるところにあしらわれています。労働者の町らしい料理は無いかなあと思い、コンビーフハッシュ(コンビーフと刻んだジャガイモ)やランカシャーホットポット(羊肉と野菜の煮込みに焼いたジャガイモ)を食べました。これらは、150年ほど前に兄弟がそれぞれ開いたチョップハウスと呼ばれる肉料理を中心としたレストランで食べました。

ランカシャーホットポットは、労働の前にストーブの上にホットポット(鍋)を置いて行けば、帰宅してすぐに食べられる、というようなことでもあったようです。
会期中、学会のプログラムにはほぼフル参加しつつ、時間を見つけて産業・科学博物館、ピープルズヒストリー博物館、マンチェスター博物館、美術館、チェサム図書館(英語圏初の公共図書館を標榜)、ジョン・ライランズ図書館などにも行きました。チェサム図書館(ガイドツアー)とマンチェスター中央図書館は特に印象深かったです。
中央図書館は観光客が多く行く閲覧室ではなく、家族史ヘルプデスクでボランティアさんに少しお話を聞いたため印象に残りました。イギリスの公共図書館には地域史・家族史を調べたいユーザのためのヘルプデスクが置いてあることがめずらしくありません。

今回は議論も盛り上がり、新たな知り合いもでき、エディンバラ以外の都市にも行けたのでBSAに参加して良かったです。特に、留学以前から会いたかったグラハム・クロウ先生(エディンバラ大学名誉教授)にはBSAで初めて会え、報告も聞きに来ていただき、コメントもたくさんもらえたのが嬉しかったです。3月までの受入教員だったリン・ジェミソン先生(元BSA会長)も、会期中、多くの研究者を紹介してくれました。