千年村プロジェクトの「疾走調査」(伊豆)

千年村プロジェクトの「疾走調査」に参加させてもらってきました。今年は伊豆が舞台です。

◆千年村プロジェクト
http://mille-vill.org/

僕は基本的には「地域に入り込んで、数年間掛けて人間関係を構築し、人生史を中心とする聞き取りで地域社会を描く」という方法をとる研究者です。

今回の疾走調査は事前に担当の学生たちが訪れる「郷」の地形図などから読み取れる情報を見開きにまとめた「野帳」なる資料をもとに二日間で10地域を駆け抜けるように調査するものでした。

そういう意味では、普段の調査とは真逆です。

そういえば、今週、お邪魔させてもらうゼミでは「調査地被害」がテーマのようですから、そういう観点からも少し気になっていました。

ただ、実際に参加すると疾走調査は、無理に聞き取りもしませんし、写真撮影や立ち入りなども(時間も限られていますし)節度のある範囲で、まさに疾走する感じです。また、資料を貸してくれた方にはすぐに礼状を書くように「大人」メンバーが助言するなど、配慮も行き届いているように思います。

50人が10台に分乗して回るので「いったい何が起きているのだろう」と思われる向きもあるかもしれませんが、学生たちは千年村のパンフレットを持っていて調査の主旨も丁寧に説明しているので、誤解が生じることは少なそうです。

建築やランドスケープを専門とする学生たちに、アプリの使い方や地形図の読み取り方、建物の特徴についてなど教えてもらいながらの楽しく学びの多い旅でした。

とはいえ、僕は直接にはあまり役に立てることがないというのも痛感し、修行が必要です。植生も建築も都市計画も文化財も宗教も農業も生態もわからんのです。

ただ、2日間の旅と、今日の会議(成果報告会)のやりとりで思ったのは、もしかすると自治や行政の観点からもう少し勉強すると僕にもできるようになることがある気がします。

たとえば財産区の話は報告者もピンと来ていないようでした。所有権の話も含めてこのあたり知っておくのもいいかもしれません。

また、自治体も自治会も僕の認識では「本当は境界線が引けない」領域を持っている(自治体は議論の余地があるとして、住民自治組織は実は地図上で表せるものではない)ので、「郷の比定」なる作業自体を斜めに見ながら動いてみるのもいいかもしれません。

早稲田大・千葉大・都市大・慶應大(SFC)はじめ、参加者の皆様にお世話になりました。最後に初参加ということでご挨拶の機会までたまわりました。今後も関われるといいなあと思っています。

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